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「残された石の声―石がつなぐ小豆島と大坂城―」

文化財学科の学生12名が企画・運営する展覧会
約800名の方々がご観覧

開催期間:2016年2月13日(土)〜3月13日(日)
会場:高松市石の民俗資料館   

 このような学生による展覧会開催は、高松市石の民俗資料館からの開催依頼が発端となり、2005年に第1回目の取り組みを実施し、今回が7回目となりました。

 約 1年半、学生が主体的に調査研究や学習会、そして展示準備等を積み重ねて行うもので、 公立の博物館において大学(学生)主催による展覧会開催は全国的にほとんど例がなく貴重なものと言えます。 毎回、様々なテーマを設定して実施し、学生たちは多くのことを学ぶとともに、計り知れない達成感を味わっています。
 この度は、文化財学科が平成25年度から進めていた「香川県小豆島内に所在する石の歴史と文化に関わる資料の調査研究」とタイアップして、 江戸時代の小豆島における石丁場(石切場)や大坂城築城に関わる資料について「地形」、「文献」、「石材」の3つの観点から明らかにするというものでした。
 石の歴史や文化に触れ、小豆島という1つの地域の歴史や文化を知ることで、地域のあり方について見つめ直し、歴史的文化遺産の保存にも関心をもっていただきました。

展覧会のポスター

開会式後の記念撮影(2016.2.13)
 小豆島・古文書調査(2015.3.1)  大阪城・石垣調査(2015.8.6)
 小豆島・石丁場調査/矢穴の拓本採取(2015.9.13)  展示作業(2016.2.11)
 展示風景/第1章 慶長小豆島絵図   展示風景/第2章 小豆島小海村石数覚
 展示風景/第3章  刻印拓本  展示風景/第3章  石工道具
 関連行事/石割実演(2016.2.21)  学生による展示解説

展覧会を終えて

 この取り組みでは、「学生の潜在的な主体的行動能力を引き出すとともに、学生相互の協調性及び社会的責任感を涵養していく」ことも大きな目的としており、「教育」という観点に重きをおいております。「主体性・協調性・責任感」を各自がもつことで「一つになる」ことができます。これは、本学の「自立協同」という建学精神を培うことでもあります。このことについては、以下に示す「学生たちの受け止め方」をご覧ください。

学生たちの受け止め方(展覧会終了後の感想文より)

(1)参加の動機
●私は、これまでの学生生活を振り返って何かを協力して成し遂げるという活動を行ったことがありませんでした。学生最後の年にそういった活動を行うとともにこれまで学んできたことを発揮する良い機会だと思いこのプロジェクトに参加しました。このプロジェクトでは様々なことを自分たちで進めていくため、社会に出た時も自分の力になると思います。

●プロジェクト参加の動機は、展覧会が始まるまでの期間でどのような準備をするのか経験してみたかったからです。博物館には今まで何度も見学にいったことがあり、当たり前のように展示物をみてきました。分かりやすく説明されたキャプションやパネル、見学者に配慮した展示物の設置、整えられた環境などです。このように完璧に準備された展覧会はどのような流れと動きで出来上がるのかを実際に経験し知りたいと思いこのプロジェクトに参加しました。

●このプロジェクトへの参加を決めた理由は、実際に自ら企画し展示することに魅力を感じたからです。今までいくつも博物館へ行って展示を観覧してきましたが、自らが展示する立場になる機会は、ここでしか経験できない貴重なものだと思いました。また、学芸員という職業に興味を持っているため、企画するにあたって、どういう流れで進んで行くのか、そしてどのようなことが重要なのかということを学ぶために参加させていただきました。

●私がプロジェクトに参加しようと思ったのは、大学に入る前でした。オープンキャンパスでこの展覧会の様子を映像で見たことがきっかけで、学生だけで完成されたものを作る、ということに憧れを抱きました。また、文学部文化財学科に入り、学芸員の資格を取ろうと思っているのなら、この経験がどこかできっと役に立つと思います。

(2)自主性
●様々な意見や提案を積極的にするように心がけました。誰かが意見や提案をしなければ物事は進んでいかないので、まずは自分からという気持ちで学習会では発言してきました。

●自主性については、自身で考えて行動をしていかないとグループ全体がうまく回らないと感じました。どの作業も指示を待っていたら作業の流れが止まってしまうため、一人一人が自主的に行動することが大切なのだと感じました。

●自分のやっていることに責任感を持つことは自主性に繋がると思います。当初は展覧会の方向性が分からず、学習会も、現地での調査にも身が入りませんでした。自分でもこのままではいけないと感じてきて、やっと図書館で小豆島の地形に関する本を読み始めたりしました。もう少し自分の疑問に思ったことを率先して調べるべきでした。

(3)協調性
●協調性については、どの作業をするにも一人では上手く進めることができないため、できないことは他のメンバーを頼って作業を進めることができたと思います。

●最初から分からないことばかりで、自分と同じ班の人たちとしか協力していなかったと思います。しかし、資料に関連性を持たせるために、各班との連携を大切にすることが重要であると分かりました。最終的には、プロジェクトメンバーの皆と協力して活動できたと実感しています。

●メンバーの皆さんとは、当たり前ですが学年もバラバラで、積み上げてきた経験の差もあります。はじめは遠慮からなかなか打ち解けることが出来ませんでした。しかし、展覧会が近づき、準備に集まる機会が増えてきて一緒に活動することが楽しくなってきました。自分の役割だけではなく、他の分担の人とも協力し成し遂げることにやりがいを感じることが出来ました。また、展示解説では分担だけではなく、すべての知識が必要になってきます。それぞれが持っている知識の共有が大切です。解説をおこなっていく時にも協調性の重要さを感じました。

(4)責任感
●今まで自分が決めたり、やらなくてはいけなかったりすることが遅れてもそれは自分自身に返ってくることでした。しかし、今回のようなことは自分だけでなく周囲に迷惑をかけてしまうことを改めて実感しました。また、自分が人から頼まれていることが出来ていないと大きな失敗を呼びます。自分がすること、人から頼まれてすることすべてが整ってはじめて全体が動きます。この全体を動かす根本は一人一人の責任感により成立することを自覚しました。

●何かに責任を持たないといけない、ということは非常にプレッシャーが生じることだと思います。私は失敗が怖くて逃げてしまった面が多くある気がします。今思えばもっと積極的に挑戦しても良かったのでは、と思うことがいくつかあります。プロジェクトを通してこれからの自分がどうなっていくべきか考えることができました。

(5)その他
●この1年半はあっという間で、その間に様々なことを経験しました。苦しいと思ったこともありましたが、それだけでなく楽しいと思える場面も多くありました。学生生活最後の年に様々な経験をすることができて本当に良かったと思います。この経験はこれから社会に出ていく上で大きな自信になると思います。

●展覧会プロジェクトに参加して、良かったというのが素直な感想です。このプロジェクトでの活動は、学生の間でしか経験できないことであったし、それまで体験したことのないことが数多くありました。周りの人たちと協力して一つのことを成し遂げることの大変さや、達成感はとても大きなものであると改めて感じました。また、学芸員の職務である展示活動や展示解説などを通して文化財を保存していくことの大切さを意識するようになりました。

●このプロジェクトに参加した当初は学芸員に対する情熱は強くありませんでしたが、勉強を重ねるにつれてその魅力に惹かれていきました。今では本気で学芸員になることを目指してみようとも思っています。この展覧会から自分は成長し、将来にも向き合うことができました。

●最初は、自分にできることなんてあるのだろうか、と不安しかありませんでした。やめようと思った時も何度かありました。しかし、学習会や現地調査に参加しているうちに、こんな私にも役割があると感じるようになり、やめないで良かったと思いました。先輩方のお手伝いができていたかどうかはわかりませんが、自分なりに達成感はありました。長いようで、始まってしまったらあっという間の展覧会でしたが、本当に良い経験をしたと思います。これからも、この経験を生かして色々なことに取り組んでいきたいです。

●約1年半プロジェクトに参加し、ここでしか出来ない様々な経験をすることが出来ました。展覧会を企画する上で、すべての場面で人と人の繋がりが大切だということを実感しました。自分たちに直接力を貸してくれる人や、間接的にでも関わってきた全ての人の力が無ければこの展覧会は完成しなかっただろうと思います。私には全てが初めての体験で新鮮でした。


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