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☆☆☆ 時空を超え、日本文学の旅に出かけよう ☆☆☆

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お勧め本(その4)


 書  名 『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)
 著  者 東 浩紀 
 解  説  「オタク」という言葉が一般に広まってどのくらいたつでしょうか? 「オタク」は特別な男性だけの問題なのでしょうか?この本はまさにその 「オタク」の視点から現代日本の社会を分析したもの。ちょっと「哲学的」 ですが、コミック、アニメ、ゲーム、ノベル、フィギュア、カードなどを 縦横無尽に論じています。
 「自分はオタクじゃない」、そう思いつつ内心大いに不安… という人が多いのでは?心配無用。今や「オタク」こそが日本文化の核心だ と筆者は言います。誰もがケータイを持ち、ゲームやアニメを楽しんでいる 現在、日本人の感性も大いに変化したと言えるでしょう。いわゆる「萌えキャラ」 を分析しつつ、筆者はそれを「データベース消費」と命名しています。全てが フラットになった現代、そうした感性から目を背けずにゼロ年代の社会で何が 起きているかを考えてみましょう。ライト・ノベルに興味のある人は、大塚英志 『キャラクター小説の作り方』(角川文庫)もおすすめ。【中山弘明】

 書  名 『論語』(岩波文庫)
 著  者 金谷 治訳注 
 解  説  近頃は『論語』が一種のブームという。社員研修等で『論語』が 取り上げられ、雑誌で特集が組まれたりもし、また、親子で『論語』を読む 「こども論語塾」のような取り組みも盛況という。新学習指導要領では 小学校でも古典や漢文が取り入れられるとのことで、そうなると『論語』は 子どもたちにもますます身近なものになるだろう。前時代の道徳主義として 敬遠される向きもあるだろうが、今日でもこの書が活かされている場面が 多くあるということは、この書の説くところに現代の私たちの生き方にも 相通じる普遍的価値があるということを意味するのかもしれない。
 本書についての注釈や研究書はたくさんあるが、まずはシンプルにその テクストに接するというのに役立つ書の一つにこの岩波文庫版(青帯)が ある。同文庫では武内義雄訳注の旧版(1948)、金谷治訳注の新版(1963 〜)があり、近年その改訂新版(1999)が世に出た。『論語』のテクストは 断片のような短い言葉の集積であるが、本書では、その文のまとまりごとに、 漢文の原文とその書き下し文、現代語訳、語注が簡潔にまとめられ、大変 読みやすい。巻末に語句・人名の索引も備わり、便利だ。
 「温故知新」という言葉も『論語』によるものだが、正にそれにふさわしい 古典中の古典である。【下田祐輔】

 書  名 『目に見えないもの』(講談社学術文庫)
 著  者 湯川秀樹 
 解  説  湯川秀樹といえば日本初のノーベル賞に輝いた人であり、物理学 の方面はもちろん、敗戦後の日本人にどれだけの勇気を与えたか知れ ない。戦後生まれの男子に「秀樹」という名が少なくないことからもその 影響のほどがわかろう。私は前回「古典を読もう」といった。なのに、今度 は自然科学系の本である。節操のなさをなじられてもしかたない。だが、 君子ではない私でも豹変するのである。
 全体は3部に分かれていて、第1部は物理学の話だが、第2部と第3部 は湯川氏の自伝や随想になっている。私が好んで読むのは第3部、特に そのなかの「真実」という文章である。湯川氏の書かれたものを読むと、 その根底に東洋的なものの考え方があることを感じる。実際、孟子が好き だったそうだ。そうなると、分野は違ってもやはり「古典を読もう」ということ になろう。読書好きだった湯川氏のことば。「読書は人生の大きな喜びの ひとつである。一巻の書をてにしておれば、この喜びはどんな時どんな所 でも味わうことが出来る。必ずしも燈火親しむべき季節をまたなくてよい。 春夏秋冬皆可なりである」(同書126頁)。読書を楽しみましょう。【近藤政行】

 書  名 『サブカルチャー文学論』(朝日文庫)
 著  者 大塚英志 
 解  説  今日紹介する本は、大塚英志の 『サブカルチャー文学論』です。文学がブンガクと柔らかく表記される ように久しい時が流れました。いま漢字の文学なんてやっているのは、 大学のアカデミズムだけです。いまどきのヒトは、もっと軽ーくブンガク と戯れなくてはいけません。そんなセンスを磨く本です。これを読めば、 日本文学史AUなんてチョロク感じられます。単位修得のためにも是非、 是非ご一読ください。【上田穂積】

 書  名 『『坊っちゃん』の時代』(双葉文庫)
 著  者 関川夏央著 谷口ジロー画 
 解  説  「オタク」という言葉が一般に広まってどのくらいたつでしょうか? 「オタク」は特別な男性だけの問題なのでしょうか?この本はまさにその 「文学史」というと、堅苦しい暗記ものというイメージがあるのではない でしょうか?この本は明治の「文豪」を素材にしたマンガです。明治三十 八年、当時三十九歳だった漱石の周辺に集まる若者群像が魅力的に 描かれ、『学習マンガ 日本の歴史』などとはひと味違った、生々しい 歴史が感じ取れます。
 『座談会 明治・大正文学史』(岩波現代文庫)が、売れて いるというから驚きです。もちろん名だたる碩学の座談会なんだから、 面白いにきまっていますが、やはり文庫になって装いを改めた効果も 大きいでしょう。明治の文学は、ちょっと冷めた目で見ると思いの外 楽しいのです。
 この本の解説で作家の高橋源一郎は、「文学の再利用」といっています。 そう、充分リサイクルが可能な代物なんですよ「文学」は。自然主義の 作品なども軽いノリで読んでみると、案外抱腹絶倒だったりするかも しれません。高橋氏の「小説版文学史」ともいえる『日本文学盛衰史』 (講談社文庫)も読んでみましょう。一葉も花袋もとんでもないヤツに なっています。【中山弘明】

 書  名 『漢字と日本人』(文春新書)
 著  者 高島俊男 
 解  説  周知のように、かつて日本には文字がなかったが、二千年ぐらい 前に中国から漢字が入ってきて、日本人は漢字を使い始めた。中国語の 文字を、日本語を表記する文字として用いるようになったのである。
 しかし、中国語と日本語とでは言語の類型が異なるため、漢字で日本語を 表記することは簡単なことではなかった。漢字の音に加え、訓という日本語 独自の読み方を発達させ、漢字の字体を簡略化することで仮名という音節 文字を生み出すなど涙ぐましい努力のすえに、日本語を表記する方法を 確立していった。また、漢語が大量に入ってきて日本語の語彙の重要な 位置を占めるようになり、日本独自の漢語(和製漢語)も造り出した。
 明治から昭和にかけて漢字の使用をやめようという運動があったが、もはや 漢字は日本語に無くてはならない文字となった。
 本書は、日本人が中国の文字である漢字とどのように格闘し日本語の文字 としていったかや、これから日本人はどのように漢字と付き合っていくべき かなどについて論じている。直接語りかけるような文章で大変読みやすく、 ときおり顔を見せる毒舌も適度なスパイスとなっている。【青木毅】

 書  名 『深呼吸の必要』(晶文社文庫)
 著  者 長田 弘 
 解  説  書と同じタイトルのコミックや映画、小説、それにCDもある。それ らと本書との関係を私は未だ知らないが、それらが作られるよりずっと前、 1984年に初版が刊行されて以来、刷を重ねているのが、ここで取り上げ る長田弘の詩集、『深呼吸の必要』である。
 ゆったりとした版組みに、親しみやすい言葉で書かれた散文詩が33編。 折々に木のシルエットのイラストが挟まれている。活字もイラストも全て、 クリーム色の本文用紙に深緑色のインクで印刷されている。その紙面を見 ただけで、深々と息をしたくなるような気分になる。ゆっくりと頁をめくる と、日常のなかの、ささやかな、けれども実はとても大切な何かを思い出さ せるような詩の数々。
 私は学生の時に、偶然この本を書店で手に取り、なにか素敵な宝物を見 つけたような気持ちになったことを今もありありと思い出す。詩が好きな人 にはもちろん、普段、詩集をあまり開くことがない人にも是非、お勧めしたい。 【下田祐輔】

 書  名 『究極版/逆引き頭引き日本語辞典』(講談社+α文庫)
 著  者 小内 一 
 解  説  日本語の表現を見渡してみると、名詞と動詞が結び付いた 表現が多いことに気づきます。そして、「骨を折る」「目くじらを立てる」 のように、成句となったり慣用的に使われているものがかなりあります。 この本は、そのような名詞と動詞とが結び付いた実例を数多く集めた 文庫版の辞典です。一番の特徴は名詞からでも動詞からでも惹けると いうことです。
 たとえば、「風が吹いて葉が動いていること」を表したいときは、 「葉」を引けば「動かす、きらめかせる、そよがせる、鳴らす、ひるが えす、揺らす」などの動詞が出てきます。また、「場数を踏む」という 言い方が思い浮かばないとき「踏む」を引けば「場数」が出てきます。 便利でしょう。度忘れしたとき、ぴったり来る表現を探しているとき、 この辞典があれば、即解決です。【近藤政行】

 書  名 『敬語再入門』(丸善ライブラリー)
 著  者 菊池康人 
 解  説  敬語について解説した本はごまんとあるが、あまりに多す ぎてどれを読めばよいのか迷ってしまうという人もいるのではないか。 市販されている敬語の本には、敬語の仕組みを詳しく述べた〈教科書〉 タイプと敬語の使い方を具体的に述べた〈実用書〉タイプの二種に 大きく分けることができる。
〈教科書〉タイプは、たとえば国語の先生や日本語教師をめざす人が 読むべき本であるが、必ずしも実用的ではないため、日常的に敬語を 使う機会の多い営業や接客業に携わる人には向かない。そのような 人には〈実用書〉タイプが役に立つが、このタイプにはマニュアルの ように型にはまった説明のものが多く、応用が利かないという問題点 がある。
 その点、本書は、両タイプの特長を兼ね備えており、敬語の仕組みを 学びたい人にも実際に敬語をうまく使えるようになりたい人にも勧め られる本である。通読すれば、現代日本語の敬語について一通りの 知識を学ぶことができるし、項目が細かく分かれており詳しい索引も 付いているので、必要なことをすぐに調べることもできる。なお、本書 の初版は平成8年であるが、敬語の5分類の考え方がすでに述べられ ている。【青木毅】

 書  名 『エロティシズム』(ちくま学芸文庫)
 著  者 ジョルジュ・バタイユ著 酒井 健訳 
 解  説  フランスの思想家バタイユは、理性を超えた人間の根源を 探求しました。バタイユが活躍した時代は、第一次大戦と第二次大戦 の狭間の時期です。既成の権威が壊れ、その下から、思いも寄らぬ 様々なものが姿を現しました。彼はそれを「非−知」と呼んでいます。 ニーチェの思想とも深く関係があります。「エロス」は、バタイユが 最も深く追求していたテーマです。
 「エロイ」とよく言いますね。現代は「エロ」の時代でも ありますが、その実態を誰も真面目に考えようとはしません。「卑猥だ」 と眉をひそめたり、逆に「エロ」を謳歌しているばかりです。理性を 超えた、分けの分からぬものについて考えることを恐れているのでは ないでしょうか。バタイユは、「エロス」を人間の自由に結びつけます。 文学の根本に働いているものも「エロス」という情動であり、それは人 を解放しつつ死へと誘う力だと言うのです。生きていることの根底を 揺さぶられる本です。【中山弘明】

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